鈴木博毅『「超」入門─失敗の本質』の読書メモ

前書き

気になった箇所だけ、自分の言葉でbullet point形式にまとめていきます。

書籍主題:戦争やビジネスにおいて繰り返される日本の失敗は、同一の文化的背景に起因している。

戦略の問題1

■日本の文化:戦略が曖昧である

WW2の事例:戦略的に無意味な小さい島を攻めまくり駐屯したが、大半の島は何の価値もなく、米国に戦略的に重要な数島を攻められただけで全てが崩壊。99勝1敗での敗北における99勝の実態は時間と資源の浪費・戦力の分散でしかなかった。

近年の事例:戦略的に無意味なスーパーコンピューターに多大な投資を行い世界一位となるが、同一資金を別分野に投資した米国や中国にIT分野で完全に敗北。実際のところ、スパコンで処理速度世界一になっても何一つ意味はなく、殆ど利用されずに捨てられるに至った。途中、「2位じゃダメなんですか?」という問題提起が国会議員から行われるも、「理系では1位にならなければ、特許が取れないので、2位では意味がない」といった特許取得と錯誤した意味不明な批判が大半の国民から同議員に対して相次いだ。

■行動の共有点:目標達成に繋がらない勝利に固執している。

WW2のShoud Be:第二次世界大戦において取るべき「戦略(=追いかけるべき指標)」は「決戦戦争」ではなく「持久総力戦」であることを見極めたうえで、白兵銃剣主義や艦隊決戦主義といった個別の戦闘での勝利を積み重ねるための努力を捨てて、生産力と国力を増強するための努力を行うべきであった。

スパコン事例のShould Be:国家IT投資において最注力すべきは「一台のハードウェアの有する処理速度」ではない(=同様の処理速度は分散処理によって1/1000のコストで実現可能であった)ことを見極めた上で、一台のハードウェアの処理速度の追求を捨てて、社会インフラ上より重要な役割を果たすCPUの開発や分散処理技術を発展させるための努力を行うべきであった。

■取るべき行為:「戦略(=追いかけるべき指標)」を見極める。

戦略の問題2

■日本の文化
「戦略(=追いかけるべき指標)」の策定をデータではなく体験に基づいて行う。

■行動の共有点
①「戦略(=追いかけるべき指標)」の発見が体験・偶然に基づく②時代の変化に応じて「戦略(=追いかけるべき指標)」を変えることができない

■取るべき行為
①「戦略(=追いかけるべき指標)」をデータに基づいて決定する②データから既存戦略の有効性の低下が読み取れた場合、新しい「戦略(=追いかけるべき指標)」に移行する

思考法の問題

■日本の文化
アイデアの洗練や技術やサービスの質の向上を追求する

■行動の共有点
ゲームのルールが根本的に変化すると対応できない

■取るべき行為
①人・技術・運用方法による創造的破壊を目指す
②問題構造が変化し得ることを前提に、現場からのフィードバックを組織全体に伝播させる仕組みを作る

イノベーションの問題

■日本の文化
イノベーションを計画的に創造することができない。そもそもイノベーションの創造よりも、既存の何かを洗練させることを好む。

■行動の共有点
①「戦略(=追いかけるべき指標)」の発見が体験・偶然に基づく
②時代の変化に応じて「戦略(=追いかけるべき指標)」を変えることができない

■取るべき行為
下記の手順でイノベーションを想像する。
①「既存の指標」の発見
②敵の指標の「無効化」
③「新指標」の拡大

型の伝承の問題

■日本の文化
成功のパターンを「虎の巻」にして繰り返そうとする。

■行動の共有点
環境変化を理解せずに、成功パターンを真似したがる。
イノベーションの芽を上記の観点から潰す。

■取るべき行為
「型の伝承」による組織の成長ではなく、創造的破壊による組織の変化を許容する。

組織運営の問題1

■日本の文化
上層部が権威主義的で傲慢である。

■行動の共有点
①上層部が固定化している
②最上位者の思想信条に共感する人物が役職者として登用される結果、教条主義的になる。
③上層部と現場が断絶しており、命令が一方向的である。

■取るべき行為
上層部を定期的に現場に送り込む
②最上位者の思想信条に共感しているかではなく、優秀かどうかで役職者を決める
③現場との意見交換の場を設ける
④現場が上層部にフィードバックを与える仕組みを作る

組織運営の問題2

■日本の文化
結果よりもやる気で評価し、やる気のある役職者の失敗を決して裁かない。

■行動の共有点
①結果よりもやる気で評価する
②やる気のある役職者の失敗を決して裁かない。
③リーダーが固定的である

■取るべき行為
①やる気ではなく能力で評価する
②「失敗を次に活かす」という思考を捨てて、失敗した人物はしっかりと裁く
③プロジェクトごとにリーダーを選出する

リーダーシップの問題

■日本の文化
リーダーにリーダーシップを求める

■リーダーの共有点
①思索しない
②本を読まない
③役職者が上がるにつれて保身に走って上層部を批判しなくなる
④役職者が上がるにつれて周囲にイエスマンが増える
⑤役職者が上がるにつれて権威を持つようになる
⑥役職者が上がるにつれて環境が安泰なものとなる

■取るべき行為
①思索し、本を読むことで常に異質な情報と触れ、「新たな指標」を追い求め続ける。
②周囲の批判的な意見を積極的に取り入れることで、「自分の認識の限界」が「組織の限界」とならないようにする。
③役職者の地位が安泰にならないようにし、また役職者が定期的に泥水を啜らなくてはならないような環境を作る。

メンタリティの問題

■日本の文化
場の空気に歯向かうのは悪と考える

■行動の共有点
①「空気」によって「それとこれとは話が別」といった指摘が成立しなくなる
②「空気」によって一点の正論が、問題全体を染め上げて、批判を受け付けなくなる

■取るべき行為
①グループ・シンクやサンク・コストによる心理的罠に陥らないように注意する
②リスクを意識し続ける